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南アルプス 甲斐駒ヶ岳・仙丈ヶ岳

日時: 11月3日~4日
参加者: 2人
コースタイム
3日 晴れ
北沢駒仙小屋(7:38)~仙水小屋(8:05~8:08)~仙水峠(8:35~8:40)~駒津峰(9:51~10:01)~直登ルート~甲斐駒ヶ岳(11:15~11:32)~まき道ルート~六方石(12:12~12:22)~駒津峰(12:45)~双児山(13:25~13:35)~北沢峠(14:40) 北沢駒仙小屋でテント泊
4日 晴れ
テンバ(5:55)~北沢峠(6:06~6:10)~一合目(6:25)~二合目(6:45)~三合目(7:10~7:16)~大滝ノ頭(7:47~8:00)~小仙丈(8:58~9:10)~仙丈ケ岳(10:08~10:20)~仙丈小屋(10:40)~馬ノ背ヒュッテ(11:15~11:25)~大滝ノ頭(12:20~12:30)~二合目(13:00)~テンバ近道~林道(13:23)~テンバ(13:28)

早朝、初冠雪で白くなった南アルプス・甲斐駒ケ岳と仙丈ヶ岳に登る為に戸台へ車を走らせた。正月の仙丈ヶ岳山行は荒天の為に敗退となっている。季節は違うが、仙丈ケ岳への登頂は、今年中に済ませなければならない宿題の様な気持ちがあった。

どうせ行くならば、北沢峠にテントを張り、甲斐駒ケ岳もついでに登ってしまおうと何時もながらの土壇場計画だ。 南アルプス林道バスの駐車場はすでに満車状態に近かった。工事が行なわれていた道が完成して、道が付け替えられている。河原の側には広い駐車場も出来ていたが、流石にそこには車は無かった。

6時始発のバスを待っていると、同じ山岳会の0さんの顔を見つけた。アサヨ峰に登るとの事。北沢峠で「お互い無事に下山しましょう」と手を振り別れた。

私達は、駒仙小屋前のテント場でテントを張り終えて、荷の軽くなったザックを背負い、仙水峠への登山道を急いだ。隣のテントから顔を出した、男女2人パーティとは相前後しながら登る。

仙水峠では一息付きながら、栗沢山からアサヨ峰に続く稜線を目で追った。0さんは一人でどの辺りを登っているのだろうか。

樹林帯を過ぎて駒津峰に着くと、沢山の登山者がいた。風の冷たさに防寒着を着込む人、行動食を頬張る人、写真を撮る人と賑やかだ。私達も風を避けられそうな場所を陣取り、行動食を口にする。私は目出し帽を被った。

これから登る甲斐駒ケ岳は、目の前に白く大きく聳えている。威圧するような姿に思わず身が引き締まる。少ないとはいえ、雪と氷の状態に、諦めて引き返す人もいるようだ。樹氷の美しさに目を奪われながら巻き道ルートと直登ルートの分岐に着いた。

後ろから来た男性パーティが「初心者は巻き道ルートだってさ」と巻き道へ向かう。
私はHの顔を覗き込んだ。巻き道ルートを選択したいとの、私の目での訴えは無言の内に却下されて、直登ルートに取り付いた。

雪や氷が付いた岩の乗り越しなど慎重になる。途中で一度休憩を取り、あっけなく山頂に着いた。此処にも沢山の登山者の姿があった。360度の大パノラマは圧巻だ。魔利支天は巨大な白いタコ坊主になっている。凍りついた祠の前で記念の写真を撮り、腰を下ろし展望を楽しんだ。

下山は巻き道ルートを選択したが、容易な道であった。駒津峰からは双児山を経由して北沢峠に戻る。仙水峠に下りる登山者の方が圧倒的に多く、私達だけの静かな下山となった。

テント場に戻ると、テントは5張りとなっていた。横には巨大なテントだ。中からは、若者達の楽しそうな声が聞こえてきた。早速、私達も無事に下山できたとビールで乾杯して寛ぐ。軽量化を図らなかった鍋料理で身体も温まり、ほろ酔い加減でシュラフに潜り込んだ。寒いが真冬ほどではない。夜は星が降るようだった。

翌朝は4時半に起きる。テント内に汲み置いた水は少しだけ凍っていた。朝食を取り、明るくなるのを待って6時にテン場を後にする。

最終のバスは16時発だが、出来れば15時発には乗りたいと気持ちは急ぐが、身体の調子が悪い。昨日も、フラフラするので風邪薬を飲んだのだが治ってはいないようだ。一歩一歩ゆっくりと歩を進める。

昨日も良い天気だったが、今日はそれにも増して雲一つ無い晴天だ。風も無くて絶好の登山日和だが、他に登山者の姿は無い。

五合目の「大滝ノ頭」で一息入れる。直登すれば小仙丈ヶ岳、右は馬ノ背ヒュッテへの分岐である。薄暗い感じの樹林の先はどうなっているかとちょっと嫌な予感がしたが、下山は馬ノ背ヒュッテ経由で戻る事にした。

小仙丈ヶ岳への登りは短いようで長い。焦りは禁物と左右の景色を楽しみながら登る。風も無い!「冬は、もの凄い風だったのにね~」と愚痴が出る。

山頂で写真を撮り、小仙丈沢カールを眼下にしながら仙丈ヶ岳山頂を目指す。途中で初めて単独の男性登山者と行き会った。無風の稜線歩きなので楽な筈だが足が重い。

1時間程で仙丈ヶ岳の山頂に着く。今年の宿題を終わらせたぞ!思いっきり笑った顔をHが写真に納める。甲斐駒ヶ岳より残雪は少ないと感じたが、下山はそう簡単ではなかった。

仙丈小屋横を流れる沢は半ば凍り、登山道は氷の道となっていた。登山道脇のロープを掴んで下り無事通過。それはほんの序盤戦だった!計画したコースタイムより1時間程早く歩いているという安心感から、馬ノ背ヒュッテまでは見頃を過ぎた紅葉を眺めてのんびり歩く。鹿柵は雪の重みで倒れないように支柱から外し、畳んであった。

藪沢小屋を過ぎて直ぐに、渡るべき沢が氷曝になっていて唖然となる。「でた~!」と私は叫んでしまった。とても通過できるものではないので、登山道を少し戻り、雪の斜面を下降する。凍ってはいるが渡れそうな所を選び、恐る恐る渡る。雪の付いた斜面に、靴を蹴りこみながら登り返して登山道に戻った。

それからも小沢が横切る度に、凍りついた登山道を慎重に歩く。滑ったら斜面を滑落するのは必至なので、側壁の氷の塊や石を掴んだ。緊張で、手の冷たさを感じる余裕も無い。ロープの垂れ下がった岩場の下降は、顔が引きつるくらい緊張した。岩に氷が付いていなければ何でも無い所だが、今は足の置き場が無い。Hに、垂れたロープを引いて、張ってもらってから恐る恐る下った。と、此処までは、アイゼンを付けないで何とか通過できたのだが、最後に、掴む側壁も無く、滑ったら何処まで落ちるか分からないという凍結した登山道の通過では流石にアイゼンを付ける。

直登ルートとの合流点である「大滝ノ頭」に着いた時は本当にホッとして力が抜けた。アイゼンを外し、行動食を頬張る。お腹が空いていたのを思い出して、残りの行動食を全部食べてしまった。

1時間の貯金タイムは無くなっていた。計画通りのコースタイムになったのだが、此処からは休みなしで下りるとHが言う。

下り始めて直ぐに単独の男性登山者が登って来た。塩見岳まで縦走するとのことだった。順調に下り、13時半にはテント場に着いた。14時にはテントの片付けも済んで、北沢峠の長衛荘でコーヒーを頂きながら15時発のバスを待った。隣の大型テントの若者達を含め、写真を撮りに来た方々や、散策している人、甲斐駒ケ岳に登った登山者など、バスはほぼ満員となり戸台に向けて出発した。


テント場


直登ルート


山頂から魔利支天


小仙丈ヶ岳から


やったね!
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