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中央アルプス 北部縦走

日時: 10月10日~12日
参加者: 2人
コースタイム
10日 ガス
アルプス山荘すぐ上の駐車場(8:40)~敬神滝小屋(9:20~9:30)~五合目 金懸避難小屋(11:18~11:28)~八合目(14:10~14:18)~玉ノ窪山荘(15:24~15:30)~木曽駒ヶ岳(16:07)~頂上山荘(16:20)テント泊まり
11日 晴れ
テンバ(5:05)~宝剣岳(5:50)~極楽平(6:40)~濁沢大峰(7:50)~檜尾岳(9:15~9:25)~熊沢岳(11:05~11:15)~東川岳(12:40)~木曽殿山荘(13:05~13:20)~空木岳(14:48~14:54)~摺鉢窪避難小屋(16:50)
12日 曇り
摺鉢窪避難小屋(6:15)~南駒ヶ岳(7:05~7:15)~仙涯嶺(8:20)~越百山(9:45~10:00)~越百小屋(10:40~10:52)~7合目(12:10)~福栃平(13:48~13:58)~伊奈川(14:40)

今回の縦走は登り口と下山口が異なるので、車2台で自宅を出る。まず、木曽の伊奈川ダム先の駐車場に車1台をデポする。駐車場には既に数台の車が止まっており、出発準備中の登山者の姿もあった。急いで引き返し、上松のアルプス山荘近くの駐車場から登山を開始する。が、登山道が分かりにくい。後で調べたら、標識は以前の物で、工事の為に登山道は迂回をして付け替えられていた。

その後は順調に歩を進めて高度を稼ぐ。登山道はよく整備をされていて、半合目事に地元山岳会のお手製の木彫りの表示板がある。

概ね樹林の中を淡々と登るが、生物を多用した食材やテント装備、それに一日半分量の水で二人のザックは満杯。兎に角重い。休憩を小まめに取り、木々の紅葉に気分を紛らせながら登る。

親子連れや、ガイド登山らしい3人パーティーとは相前後するので時折言葉を交わしていたが、八合目からはすっかり距離を離されてしまった。八合目過ぎの分岐で玉ノ窪山荘へのトラバースルートを選択する。途中には崩壊した部分もあるが、ロープが設置してあり問題なく通過出来た。

玉ノ窪山荘に着くと泊り客が写真を撮って憩っていた。私達は風を避けた場所で休憩して最後の登りに備える。ガスで視界が悪い中、一頑張りで木曽駒ケ岳山頂に到着した。山頂はガスで展望も無く、記念の写真を撮ると直ぐに駒ケ岳頂上山荘のテント場へ急いだ。

前日の電話の問合せに、頂上山荘は営業していないとの返答だったので、Hさんは5リットル、私も3リットルの水を背負ってきたのだが、小屋は営業していた。水は此処で貰えたのだ。がっかりしたが、暗くなる前にテント場に着けた事を喜び、急ぎテントを設営する。

テント場には15張り程のテントがあった。子供連れのテントも数張りあり、賑やかで楽しい雰囲気だ。直ぐに闇が迫るがテントの中は極楽。鍋と炒め物の夕飯でお腹を満たし、お酒も進む。程好く酔ったところでシュラフに潜り込み、縦走一日目が終わった。夜は満天の星空で、駒ヶ根の夜景が見えていた。

翌朝は3時半に起床し、5時過ぎに出発する。うす暗い中、ヘッドランプを点けて中岳に登る。暗い闇の中に宝剣岳に登る人の灯りが見えていた。

宝剣山荘の前には大勢の人が集まっていた。ご来光を見る人、写真を撮る人と、宝剣岳の登山道の下部まで人が連なっていた。その横を通り過ぎて急ぎ山頂へ向かうと、グッドタイミングで山頂でのご来光となった。狭い山頂では手を合わせている人もいる。「無事に山行を続ける事が出来ますように」私も祈って先を急いだ。

宝剣岳の南稜は初めての通過だった。しっかりした鎖が付いているので問題ないが、ザックが大きいのでバランスを崩さぬように注意をして下る。

三ノ沢岳の分岐を過ぎると稜線漫歩となる。眼下に千畳敷が紅葉のジュータンを広げている。目を横に転じると、三ノ沢岳の山塊が大きい。先にはこれから歩く縦走路が果てしなく続いている。

濁沢大峰の岩場を経て檜尾岳へ到着した。7月初旬、ガスと小雨の中で檜尾岳に登ったが、あの時とは大違いの今日の快晴だ。檜尾避難小屋がオモチャの家の様にポツンと可愛らしく見えている。

熊沢岳の岩場の通過では、ちょっとルートを間違ったようで、これが一般登山道?というクライミングをした所もあった。縦走路は、想像していたよりもアップダウンが多く歩き応え十分。

ちょっと疲れも見えた頃、殿越山荘に着いた。山岳会で運営する駒峰ヒュッテの小屋番の折、電話を通してお話しはしていたが、お会いするのは初めてなので、小屋の女将さんにご挨拶をすると、牛乳を頂いてしまった。今日までの営業だとの事。「来年も宜しくお願いします」と挨拶をして小屋を後にした。

水も水筒いっぱいに補給したし、頂いた缶入り牛乳を飲んだら元気が出てきた。空木岳への急勾配の登山道に取り付いたが、上部は岩場となり楽しい。が、見えていたのは1峰で、その上に2峰があり、その先が空木岳山頂だった。空身だったら楽しいのに、と思いながら、大きいザックを岩に擦りながら登り、やっと山頂に着いた。

眼下の駒峰ヒュッテのデッキに座っている人がいた。「オーイ!オーイ!」嬉しくなって大きく手を振り呼びかけると、デッキの人が手を振り返してくれた。見慣れた空木岳山頂からの景色だが何だか嬉しい。まだ先が有るので長居は出来ない。後ろ髪を引かれながら山頂を後に摺鉢窪避難小屋を目指す。

口数も少なくなり淡々と歩く。ざらざらした花崗岩の砂雑じりの登山道に神経を使う。滑りやすく、私の最も苦手な登山道だ。やがて摺鉢窪避難小屋が見えてきた。南駒ケ岳方面から来た登山者が分岐を曲がり、避難小屋へ下りて行くのも見えた。私達も分岐を曲がり、急なガレの道を下り、草紅葉のカールの中を避難小屋へ急いだ。

今日も、暗くなる寸前で泊まり場に到着だ。小屋には単独の男性が2人、入口近くの場所を陣取り、左右に分かれて寛いでいた。私達は奥に進みザックを下ろした。

小屋は広く、トイレも清潔で居心地が良い。狭いテントとは違い、荷物も広げ放題だ。五目御飯に金平の炒め物と早速夕飯の仕度をする。私達は話をしながらの宴会になったが、他の人は銘々が夕飯を済ませ、18時頃には横になっていた。私達も早めに宴会を切り上げてシュラフに潜り込んだ。

夜はぐっすりと眠る事ができたが、時々、強い風の音に目が覚めた。だが、頑丈な小屋の中だという事と、他に人が居るのだという安心感で、又直ぐに眠りにつくことができた。

3日目の朝、6時過ぎには、申し合わせたように皆が小屋を出た。窪地にある小屋からは稜線が遠くに感じられ、カールの登り返しが辛いと思っていたが、案外容易く分岐に戻り、南駒ケ岳の山頂に立つことが出来た。

先行していた3人の女性パーティーが山座同定をしている。私は、山頂からの大展望に思わず歓声を上げてしまった。「凄いね~!」360度のパノラマだ。今日も富士山がくっきりと見えている。「南アルプスはやっぱり大きいね~」と女性パーティーから声が上がる。

小屋で一緒だった男性はザックを置き、身軽にあちらこちらと場所を変えては熱心に写真を撮っている。私達も写真を撮った後、腰を下ろして行動食を頬張った。良い景色を眺めていると、心が満たされてくるのが分かる。

景色を堪能してから越百山ヘ向かった。途中の仙涯嶺には2箇所の鎖場があった。風を避けて岩場の影で休憩したが、まだイワツメクサが咲いていて驚いてしまった。稜線上の、コケモモの実を摘んだり、ウラシマツツジの紅葉を楽しんで来たが、イワツメクサの白く小さい花が何とも愛おしく感じられる。

越百山まではなだらかな稜線歩きとなり、直に山頂に着いた。長く感じた縦走だったが、それも終わりだと思うと感慨深い。後は下りだけだ。

樹林の中に越百小屋が見え、程無くして着いた小屋のベンチで休憩を取る。その後は足先の痛みの為に小まめに休憩を取り、靴を脱いでは指を揉んだりした。

途中にある水場では、冷たくて美味しい水を飲んで生き返ったような気分になった。下のコルを過ぎると急に疲れが足に来て、2度ほど転びそうになった。ここで怪我をしてはたまらないと気を引き締める。

福栃平の林道には30分程で到着した。単独の男性と男性2人のパーティー、そして私達が相前後して林道に着いた。此処からは小一時間の林道歩きとなる。林道横を流れる今朝沢の渓谷美を眺めながら、縦走の余韻を楽しみつつ歩を進めて駐車場に着いた。


宝剣岳でご来光


続く縦走路


摺鉢窪カールを行く


やっと着いた越百山
信州の山遊び